井之上喬著『パブリックリレーションズ』第3版が発刊
井之上パブリックリレーションズ会長兼CEO井之上喬の著書『パブリックリレーションズ』第3版が4月30日に発刊となりました。詳細は以下のプレスリリースをご参照ください。
日本評論社、『パブリックリレーションズ』[第3版]を刊行
株式会社日本評論社は井之上喬著『パブリック リレーションズ――マルチ・ステークホルダー・リレーションシップ・マネジメント――』[第3版]を刊行しました。
この本には、丹羽宇一郎(グローバルビジネス学会名誉会長・伊藤忠商事元会長)氏が「パブリック リレーションズは経営そのものだ」という推薦の言葉を寄せています。
加速するグローバル化のなか、民族問題、環境問題、領土問題、貧困格差・不平等問題など、さまざまな課題を抱える世界にとってそれらの解決のため複合的な視点をもつインターメディエーター(仲介者)としての機能を有するパブリック・リレーションズ(PR)に課せられた責務はますます重大なものとなっています。
こうした時代の要請に応える形で、本書は、厳しいグローバル競争に晒される経営者や実務家が取り組むべきパブリック・リレーションズの分析手法や実践手段を明示しています。
そして、リレーションシップ・マネジメントを軸としながら、さまざまなステーク・ホルダーとの良好な関係構築を築くためにパブリック・リレーションズが大きな役割を果たすことを具体的なケースを紹介しながら示しています。まさに丹羽氏が「パブリック リレーションズは経営そのものだ」とずばりと指摘された所以はここにあると思われます。
本書は、2006年に初版、2015年に第2版が刊行されており、その後も増刷を重ね、全面的に改訂されています。今回は、読者の強い要望に応え、インターネット時代、グローバル時代に相応しい内容に書き改められました。社会環境の変化にともない、パブリック・リレーションズの役割も当然変わってきています。第3版は、こうした今日的な視点を反映した内容で大幅な改訂となっています。とくにソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)とパブリック・リレーションズとの関係を詳しく解説しました。また、パブリック・リレーションズの中核であるメディア・リレーションズに関する記述もさらに充実させました。それとあわせてこの機会に、語句などの表現も今日風に改めています。
また、著者が長年実務を通して得た知見に基づき独自に研究を重ねてきた、パブリック・リレーションズの「自己修正モデル」を「補論」から「第1章」に組み込みました。そして最終章は、SNSなどの新たなコミュニケーション・スタイルについてさまざまな角度からの考察を加えるとともに、5Gの登場に見られるデジタル革命が、どのように IoT や AI、特にChatGPTやClaude3など、真偽を包摂する生成AIの目覚ましい進化を促しているのかなど、最新の情報を取り入れ、大幅に書き換えています。またパブリック・リレーションズの概念の淵源を探るとホメオスタシスやサイバネティクスにまで遡ることができるという、パブリック・リレーションズの世界の奥深さが理解できる内容となっています。
第1版には中国版およびハングル版、第2版には日本語版をベースにした英語版が刊行されていますが、今回はこれにあわせて新たに英語本の第2版の刊行も2025年初頭を目途に発刊が予定されています。
仕様
著者:井之上喬(いのうえ・たかし)
発刊日:2024年4月30日(第3版第1刷)
発行:株式会社日本評論社
定価:本体2800円+税
判型:A5判
ページ数:327ページ
著者紹介
井之上喬(いのうえ・たかし)
株式会社井之上パブリックリレーションズ代表取締役社長兼CEO
1944年生まれ。早稲田大学第一商学部卒業。早稲田大学大学院公共経営研究科博士後期課程修了。博士(公共経営)。日本楽器製造株式会社(現ヤマハ株式会社)を経て、1970年に(株)井之上パブリックリレーションズを設立。2004年、日本パブリックリレーションズ研究所を設立。2009年3月、「自己修正モデル」の研究によりパブリック・リレーションズ分野で日本初となる博士号を取得(早稲田大学:公共経営)。現在、内外の企業、政府機関、団体など幅広い分野の顧客に対し双方向性コミュニケーションと自己修正をベースにしたコンサルティングを行うとともに、国際会議や米国ウォートンスクールや東京大学大学院をはじめとする内外の大学での講演など多数。
〈主な著作〉
The Global Public Relations Handbook: Theory, Research, and Practice(Lawrence Erlbaum Associates, 2003)(共著):米国コミュニケーション・アソシエーションのパブリック・リレーションズ部門で2003年PRIDE賞受賞。Public Relations in Hyper-globalization: Essential Relationship Management – A Japan Perspective(Routledge, 2018), 『入門・パブリックリレーションズ』(PHP研究所、2001)『「説明責任」とは何か』(PHP研究所、2009)。
〈加入団体など〉
日本パブリックリレーションズ協会会員。米国パブリックリレーションズ協会(PRSA)会員。国際PR協会(IPRA)フェロー。日本広報学会会員。情報文化学会産業部会長。グローバルビジネス学会顧問。前早稲田大学大学院客員教授。京都大学経営管理大学院特命教授。一般社団法人日本パブリックリレーションズ学会代表理事・会長。神戸情報大学院大学客員教授。北海道大学大学院客員教授。
目次
はじめに
第1章 パブリック・リレーションズは21世紀最強のリアルタイム・ソフトウェア
- パブリック・リレーションズが真に必要とされる時代
- 最短距離で目標や目的の達成を可能にするパブリック・リレーションズ
- パブリック・リレーションズを成功に導く3つのキーワード
- パブリック・リレーションズにおける自己修正モデル
(1) 自己修正モデルの概要と特性
(2) 自己修正の2つの評価基準と4つの側面 - プロブレム・ソルバーとしてのパブリック・リレーションズ
- パブリック・リレーションズは第5の経営資源
- 不足するパブリック・リレーションズの専門家
第2章 パブリック・リレーションズとは何か?
- パブリックとは
- さまざまなリレーションズとそのターゲット
(1) メディア・リレーションズ(Media Relations: MR)
[コラム1] パブリックとステーク・ホルダーとの違い
[コラム2] パブリシティ活動とメディア・リレーションズ
[コラム3] パブリシティと広告の違い
(2) インベスター・リレーションズ(Investor Relations: IR)
(3) ガバメント・リレーションズ(Government Relations: GR)
(4) エンプロイー・リレーションズ(Employee Relations: ER)
(5) コミュニティ・リレーションズ(Community Relations: CR)
(6) リレーションシップ・マネジメントに求められる能力
第3章 パブリック・リレーションズの歴史的背景
- パブリック・リレーションズの変遷とその定義
[コラム4]広報・プロパガンダとパブリック・リレーションズの違い - パブリック・リレーションズの現代的定義と役割
- なぜ日本のPRは遅れをとったのか?--日本におけるパブリック・リ レー ションズ発展史
(1) 日本のPR の発展に重要な役割を果たした社会・歴史的要因
(2) 日本のパブリック・リレーションズの歴史
[コラム5]プレス・エージェントリーとパブリシティとの違い - 日本で普及している市民(社会)運動
- 日本文化とパブリック・リレーションズ
- メディアとパブリック・リレーションズ
第4章 パブリック・リレーションズと組織体
- 日本の世界競争力
- 企業のパブリック・リレーションズ戦略
- 政府・自治体におけるパブリック・リレーションズ
- パブリック・リレーションズ専門家に求められる資質と能力
- PR会社の機能と役割
- 企業・組織によるパブリック・リレーションズ業務のアウトソーシング
[コラム6] リティナフィーとプロジェクトフィー - 急がれるパブリック・リレーションズ専門家の教育
(1) 幼児教育から初等・中等・高等教育を通じた一貫導入の必要性
(2) 高等教育におけるパブリック・リレーションズ専門家の育成
(3) 組織体における受け入れ体制の整備
(4) パブリック・リレーションズ専攻学生の卒業後の社会的環境整備
(5) 国家的取り組みの必要性
第5章 企業・組織における危機管理
- 欠かせない危険・危機への備え
- 危機管理を構成する3つの概念
(1)イッシュー・マネジメント(Issue Management)
(2) リスク・マネジメント(Risk Management)
(3) クライシス・マネジメント(Crisis Management) - 事例に学ぶ危機管理とその教訓
(1) パブリック・リレーションズの視点でとらえる
(2) 2つの好対照の事例 - 企業経営者に高まる危機意識
- 危機管理の具体的処方箋とそのポイント
第6章 戦略的パブリック・リレーションズの構築と実践
- パブリック・リレーションズのライフサイクル・モデル
[コラム7] エージェンシーとコンサルタンシー - 日米自動車交渉におけるPR戦略の実践例
- メディア・トレーニングによるスポークスパーソン・トレーニング
- 自らを知り、グローバル戦略を展開する
(1) 日本をSWOT分析する
(2)「ジャパン・モデル」を世界に
第7章 パブリック・リレーションズ活動の評価と測定
- パブリック・リレーションズ活動の評価・測定の必要性と課題
- パブリック・リレーションズ活動の評価手法
[コラム8]パブリック・リレーションズとジャーナリズムの違い - 自己修正モデルに基づく報道内容分析
(1) 自己修正マップ
(2) 報道分析のモデルケース
第8章 デジタルテクノロジーを用いたパブリック・リレーションズ――ソーシャルメディアからAIまで
- インターネット社会
- 人間の行動プロセスの変化
- ソーシャルメディア
(1) ソーシャルメディアとは何か
(2) ソーシャルメディア使用の動機
(3) ソーシャルメディアを取り巻く認知的フレーム - コミュニケーションを円滑にした事例
(1) 事例1:チロルチョコ社の素早く的確なクレーム対応
(2) 事例2:テーブル・フォー2の社会貢献事業 - フェイク・ニュース
(1) なぜフェイク・ニュースがつくらるのか
(2) フェイク・ニュースの分類
(3) ファクト・チェック
(4) ファクト・チェックのフレームとしてのESCAPE
(5) フェイク・ニュースへの対処 - 生成AIとパブリック・リレーションズ
(1) 生成AI時代の到来
(2) パブリック・リレーションズにおける生成AIの活用
(3) 生成AI使用のリスク
(4) 国際PR協会および米国PR協会のAIに関するガイドライン - 倫理観こそ情報社会を生き抜くための羅針盤
- 資料1 パブリック・リレーションズ関連団体
- 資料2 米国におけるパブリック・リレーションズ発展小史
- パブリック・リレーションズ用語集
- 参考文献
- 索引
本プレスリースへの問い合わせ先:
- 株式会社 日本評論社(http://www.nippyo.co.jp/)
- 〒170-8474 東京都豊島区南大塚3-12-4
- TEL: 03-3987-8621(販売)、8595(編集)/ infom@nippyo.co.jp
- 担当:守屋克美